<読書感想>web小説 異世界ガーデニング アルの造園物語
異世界ガーデニング アルの造園物語
web小説発のライトノベル。
庭師のおっさんが異世界に転生して好き勝手に造園するお話。
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あらすじ(web版より抜粋)
ある日、植木職人の男性が雷に撃たれて死んだと思ったら、赤子になって生き返りました。
彼には状況が理解出来ませんでしたが、実は彼が新たに生まれた世界は地球とは全く違う異世界だったのです。
その後、その赤子はすくすくと成長しましたが、大きくなるに連れて他の子供と比べて変な行動を取り始めました。
そして少年は前世で培った造園技術を使って様々な奇跡を起こしていきます。
解説・感想
主人公は落雷に打たれて死亡し、異世界で最初から新たな人生を歩んでいく。
最近流行りの異世界転生モノなのではあるが……。
「見た目は子供、頭脳は大人」という有名なフレーズがあるだろうが、この物語の主人公はむしろ「見た目は子供、頭脳はおっさん」である。しかもただのおっさんではなく、子供心を忘れずに育ったおっさんなのである。
おっさんな子供
話の語りは主人公の視点で進むのだが、まさしく『童心を忘れずに育ったおっさん』の言葉なのだ。なかなかにひどい表現だとは思うがこれ以外に言い表し方が見つからない。
ナカノムラは、このコメディのセンスを見習いたいほどである。
むしろ、『中身がおっさん』であるのをここまで前面に押し出した小説はあまり見かけないだろう。さすがに言葉遣いは子供ではあるのだが、ところどころに滲み出る『おっさん成分』が常に笑いを誘う。
この物語を読んでいると『おっさんが主人公の話を書くのも悪くないかもしれない』とさえ思ってくる。や、さすがにそんな勇気も実力もないんだが。
仕事に関しては非常に真面目
子供心を忘れなさすぎるおっさんな子供であるが、前世で培った経験や知識に対しては非常に真摯である。
あらすじにもある通り、主人公は貴族の庭師見習いとして奉公することになるのだが、その先で目の当たりにする庭のあまりの酷さに憤慨し、上司や同僚の奇異の目も気にせずに庭の改善に着手する。
その過程で、普段は馴染みの浅い『庭師』という仕事に関しての説明もあるため、雑学も増えたりする。
この小説を読んでガーデニングに目覚める者も居る……かもしれない。これはナカノムラの預かり知るところではない。
わりと残念で酷い発言が目立つ主人公だが、造園技術に関しては本物であり、彼がことを成すたびに周囲を驚かせていく。
多く語りたいが、あえて語るまい
これ以上この作品の魅力を伝えるとネタバレが多くなって楽しめなくなりそうなので、今回の解説・感想はここで終了です。
ガーデニングという、『小説家になろう』の中では少し珍しいジャンルではあるのですが、食わず嫌いをせずに一度読んでみるのをナカノムラはオススメします。
価格:1,296円 |