<読書感想> web小説『グリモワール×リバース~転生鬼神浪漫譚~』
グリモワールxリバース〜転生鬼神浪漫譚〜
web小説発、書籍三巻まで出ているライトノベル。
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web版より『ARASUJI』を抜粋。
<「見覚えのあるダンジョンだ」
やりこんだRPGで幾度となく目にしたダンジョンの中ボス部屋。
勇者を待ち構え、倒されるためだけに存在する妖鬼に、かつての記憶が甦る。
己の前世は、何の変哲もない大学生であったのだと――
このまま中ボスとして狩られるのはゴメンだ。
そう決心した彼は、ボスを撃破してダンジョンからの脱出を敢行。その過程で得たのは、''珠片''と呼ばれる謎のドーピングアイテムだった。この世界に散らばってしまった15の珠片を集めるように女神から命じられた妖鬼は、せっかくならとついでにこの大好きなRPGの世界を旅して回ることにする。
これは何れ大江山の鬼神へと到る、一人の妖鬼の浪漫譚>
『異世界転生』の部類の中にある『ゲーム世界』への転生モノ。
まず何と言っても、主人公の存在そのものが愉快すぎる。
人生エンジョイ勢を具現化したかのような人間像で、どんな状況でも何があってもハシャギ、フザケテ、場をとことん引っ掻き回す。相手の都合も全く気にせず、とことんマイペースに突き進む彼の行動に、読者は笑いをこらえきれないはず。
単なるギャグキャラではなく、彼なりの『矜持』を持ち、そのために行動できる彼はまさに『浪漫』の体現者である。作中には表現はないが、それは『義侠心』とも言い表すことができる。
作品としても、重たい過去を背負ったや、絶望に浸っている者も登場する。だが、主人公は自らの胸にある『矜持』と『浪漫』の為に彼らの背中を押し、先に進む一歩を示していく。主人公が意図したものではなくとも、彼の行動を見て、止まっていた足を踏み出していくのである。
旅のお供は『単位』と渾名された九尾の狐(=女性人化してます)。実は『単位』と呼ばれたのは本編の中のごくわずかな期間だったのだが、なぜか定着している。ちなみに何の『単位』なのかは本編を読んでほしい。笑えるが結構ひどい扱いを受けている。
色々と苦労を背負っている彼女だが、相棒の『人生エンジョイ勢』のせいでそれほど悲壮感は無い……というか、完璧にいじられ役になってしまっている。
以下、ちょっとネタバレ記述(反転表記)
→惜しむらくは、物語の進行状で長期間の離脱があることだろう<。ただ、その間にも旅の同行者は入れ替わり立ち替りなので、様々な掛け合いが楽しめるというのもある。
そして何よりもナカノムラ的にお勧めしたいのが、web版に投稿されている『学園編』である。
これは本編の登場人物たちを『一つの学園』を舞台に生徒や教師、あるいは喫茶店の店員といった具合の配置にして繰り広げられるコメディ編である。登場人物は本編の者たちだが、話の内容は本編に全く関係無い。好感度関係は本編に近いが、だからと言って相対した瞬間に即ガチバトル、という展開にはならない(一部例外を除く)。
そもそも本編が笑えるのに、学園編はとことん笑いを追求している。主人公やその取り巻きの暴走がとどまるところを知らず、他のキャラの暴走も凄まじい(ただし、キャラ崩壊は無いです)。
本編を読んだ後に学園編を読むと、本当に笑える。読むときは自室の中か、衆人観衆の中で爆笑する覚悟を持った者だけである。用心されたし。
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